【紹介する本】ホワイトラビット@伊坂幸太郎
ホワイトラビット (新潮文庫) [ 伊坂 幸太郎 ]
古事記やレミゼラブルなどの
文献の一節や
渡り鳥や星座などの
うんちくを織り交ぜながら
想像もつかない切り口で
物語が進展していきます
登場人物が多く
自由気ままな語り手に
振り回されながらも
着実に点と点はつながり
クライマックスに向けて
どんどん加速していきます。
物語に振り回されたい人には
楽しんでもらえる一冊になっていると思います。
ホワイトラビットの魅力
点が繋がる爽快感が圧倒的
この本の魅力は
バラバラになっていた物語が
見事につながっていくところにあると思います。
この話は登場人物が多いし
語り手はどんどん変わるし、
時間は遡るしで
最初は読み進めるのが
難しいです。
いろんな目線と時間軸で
物語が語られますから
なかなか複雑です。
それこそ
バラバラで繋がりようが無い話が
それぞれ語られているような感じです
それが見事につながっていきますから
さすが伊坂幸太郎といったところです。
着眼点に驚かされる
ホワイトラビットが何を表しているのか
それについて少し触れますので
嫌ない人は読み飛ばしてください。
ただネタバレには及ばないと思いますので
満を持してここで触れます。
ホワイトラビットは
“因幡の白兎”
から来ています。
因幡の白兎という神話には
教訓が隠されています
“ホワイトラビット”では
おそらくそこからインスピレーションを
受けたのだろう
という話が幾つか出てきます。
ただ、ストレートに引用するというよりは
その教訓の裏の裏を読んだような
独自の着眼点を持って書き進められます
目の付け所に驚かされます
そこがまた、
伊坂幸太郎らしくておもしいのです
登場人物の描きかた
今回の話は
“ストレスを発散する者”と
“ストレスをため込む者”に
二極化して登場人物が描かれます。
ストレスを発散させる者は
我慢をせずに弱者に当たります
ストレスをため込む者は
その発散されたはけ口になってしまい
かつ、そこで堪える人になります
すなわち後者が前者より
虐げられる関係性にあり
今回はその”理不尽さ”が軸に置かれます
突きつけられる理不尽の中でも
大事な人だけは守ろうとする
強い愛情が書き記されます
そこが強く印象付けられます
最後に
文庫本の裏表紙には
このような紹介文が描かれます。
兎田孝則は焦っていた。
新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、
だから銃を持った。母子は怯えていた。
眼前に銃を突きつけられ、
自由を奪われ、
さらに家族には秘密があった連鎖は止まらない
ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り
警察はSITを突入させる
軽やかに鮮やかに。
「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて
驚きとスリルに満ちた
伊坂マジックの最先端
どうですか。
意味わからないですよね。
この繋がりようが無い
いくつもの出来事が見事に重なって
予想もできないクライマックスに繋がっていきますから
伊坂の作品はすごいんですよね
今回は特に、
最後に辿り着くまでの
伏線回収が面白いので
ぜひ読んでほしいです。
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