【文字に託した可能性】シュトヘル@伊藤悠

【紹介する漫画】シュトヘル@伊藤悠

シュトヘル 全14巻

マンガワンの
全巻イッキ読みで期間限定配信されている
シュトヘルという漫画ですが、
本当に素晴らしい作品でした。

こんなに深い面白い作品に出会えて
幸せだと感じました。
久しぶりに漫画で目頭が熱くなりました。

文字が国を作るそんなに未来を思い描く少年
文字が国に溢れる現代を生きる未来を知る少年
文字に救われた女戦士

この三人の主人公が織りなす
ドラマに夢中になりました。

生と死を語る

この作品の舞台は元の時代
すなわち
モンゴルのチンギスハンが
統べていた頃の話です

大きな国が小さな国を飲み込んでは
残虐なほどに力の差を見せつけて
文字通り跡形なくす。

そんな時代の話です。

いつだって生が先だ
食って寝てそこにいた
いつも
“生が死の先を走る”

死に方は人を汚せない

この言葉が
僕には強く響きました。

いくつもの命が簡単に
消えてはなくなる
そんな物語である中で

それらの命にも
等しく生きた時間があったと語る
主人公の言葉が強く響きました。

文字の力を説く

文字はもともと
その時代の王が
自分の存在を永遠に繋ぎとめるために
普及させたものであるからこそ

その国の歴史を記すものは
その当時の王の色に染められ
王のためのものとして
この世に残っている

だからこそ、
文字を知る少数による
数えられるだけの筆が書く文字には
力がないのだと言います

主人公が途中で語る

「文字で記すのは出来事と心
心を載せるそれぞれの文字で書かれるからこそ
その塊は誰のものでもなく
何色にもならないんだ」

という言葉は
今を生きる僕らにとっては
当たり前すぎて逆に伝わらないような

そんな内容ですが、
本当に大事なことだと思います。

人が触れて
出来事と心が生き返る
何度でも。

だから人を
静かに文字は待っている

この作品の締めの一節です

遥か昔の人が記した文字や
隣で生きる大切な人が書く一文が

意味を持つのは
そこにいた人が想いを持ってペンを走らせたから

そして、それに出会った僕たちが
その文字を読み解くべく
興味を持って向き合うからこそ
成立するのです。

すなわち、
書き手と読み手がいて
初めて文字は意味を持つのです。

最後に

最近はやりの
「転生したら〇〇だった」
みたいな謳い文句で
「転生したのは悪霊と呼べれた女戦士!!」
とか、書かれたらなおさら
浅くも感じてきてしまい

そもそも1話目を読むかどうかもはばかられてました。

さらに
時空を越える系の漫画は
当たり前だけど
必ず主人公が現代に戻るわけで
そこでどれだけの出来事があろうと訪れる
避けられない別れがあるという

ストーリー展開が好きではないので
正直少し避けてきました
避けずに読んでよかった。

世の中は面白いもので溢れているなと
改めて実感させられました。

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