【紹介する漫画】OMEGA TRIBE@玉井雪雄
世界観の設定が秀逸で
伏線が細部まで張り巡らされていて
登場人物ひとりひとりのキャラが立っている。
それだけで漫画としては大傑作と言えるのではないのでしょうか。
スピリッツ掲載で青年向けということで、
友情努力勝利ではないけれど、
だからこそ面白い、
人間ドラマの絡み合いから目を離せない。
なんか見たことある人出てるなー
と思って作者を調べてみると、
つい先日どはまりした
「カモメ☆チャンス」
っていう
「育児」×「ロードバイク」
っていう謎の設定で描かれる漫画と
同じ作者で驚きました。
面白い話を書く人の作品は
全部面白いことを知りました。
世界観が秀逸
超人類誕生というありがちな設定
×
リアルな国家間駆け引き
×
「生きる」という根本的なテーマ
この、類を見ない組み合わせが、
予測できない展開を生みだして
読者をさらに深みに引きずり込んで生きます。
「超人類」というありがちな設定
体に何かが宿るとか
突然変異で能力を得るとか
そういう類のありがちな設定です。
リアルな国家間駆け引き
政治や、経済、権力者からの圧力、
国の構成要素に至るような深い部分まで
踏み込んでいく作品です。
「生きる」という根本的なテーマ
主人公はもともと「ひきこもり」
正直読み進めても、
なぜこの人が主人公なのかわかりません。
正直、誰でも良かった。
つまり、どんな人間でも主人公に
なり得たということを示していると思います。
それ故に読者から遠くなりすぎない価値観で
話が進んで行く。
読みやすいです。
伏線の張り巡らされ方
正直クライマックスは驚かされ続けました。
確かに最初から変な奴はたくさんいたけども、
まさか、ここでそうなりますか。
ってな感じでした。
これは深く語れないです。
読んでみてほしいです。
個性の強いキャラたち
98歳になった元ヤン梶くんが最後に言います
「この歳になるとたいして変わんねぇな。
生きてたって死んでたって
ほんの何年かの差だろ。
いつかまた会うわけだしよ。そう考えるてみると、
同じ時代に生きてたってことが
すげぇことだな?ぶっ殺したい程にくかった奴も、
心底惚れた奴も、
同じ時代に生きてるってことは、
一緒に遊んだもの同士、
同じように愛おしいよな。」
とにかくめちゃくちゃたくさんキャラが出てきます。
それこそ、ヤンキーの梶くんは最高に
愛せるキャラです。
彼の言う通り、愛おしいキャラも
心底うんざりするようなキャラも、
ポッと出で、何やらかしてんの?ってキャラも、
みんな最終的には愛おしくなる。
そんな話でした。
最後に
生命をの起源で最も最初に生まれたものは何か。
それは「意志」だ
と本作では述べられています。
それも「生きるという”意志”」だと。
いろいろな環境の変動にさらされ、
淘汰されながらも、生きる本能の元に
繋げられてきた種の歴史。
最終的に比較されるのは、
様々な条件から導き出される最適解なのか、
倫理や価値観などの不確定要素を背負ったままの
不完全な折衷案なのか。
究極に行き着くとそれ以上の先がない。
それゆえ不完全で有るが故、
無限の可能性を持つものにだけ、
その先を進む権利があると。
個人に落とし込んでも、
確かにここまで人生が刺激的なのも
不完全だからなのかとも思います。
日本の古き文豪も、
海外の天才たちも、
早くして亡くなる人がいます。
そうでない人ももちろんいますが、
何故、長く生きるのか。
それとも、早く死んでしまうのか。
それは、
”LUCK”なのか、
”WILL” なのか
”EFFICIENCY” なのか。
そんなことを、考えさせられる中々の名作でした。
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