【歌詞を堪能する】栞@クリープハイプが表現する圧倒的世界観に酔う

音楽と生きる




【紹介する曲】
栞@クリープハイプ

この曲は
非常に贅沢なコラボレーションで
数年前に一世風靡した
クリープハイプの曲です

尾崎世界観の歌詞は
ニュアンスを伝えるのが非常に上手で
僕自身とても好きなのですが、
栞の歌詞は
その中でもきれいで情緒的で
素晴らしいなと思いました

栞の歌詞の魅力

栞のニュアンスが素敵

栞というのは
どこまで読んであるかを示す
目印のことです。

栞を挟んだまま
読むことやめた本もあれば
栞を挟むことを忘れて
続きを探すことが難しくなった本もあります

すぐにまた読むだろう
と思っていたら
そのまま機会を失い
床に積まれることもあるし

読み続けると思っていたのに
ふとした拍子に手を放し
続きを見失うこともあると言うことです。

これは人生そのもので
「また明日」
と別れたはずなのに
その”また”がこない関係もあるし

ふとしたアクシデントで
関係が遮断され
修復できる目途がつかない関係もあります

ありがちで退屈な
どこにでもある続きが
開いたら落ちてひらひらと風に舞う
迷っても止まっても
いつも今を教えてくれた栞

本を落とした描写が
歌われています

栞さえ挟んでおけば
ページが風に流されても
現在地を教えてくれます

栞を挟み損ねて
本を閉じてしまうあの台無し感と
大切な人との関係に見立てた歌詞が
しみじみと刺さります。

本になぞらえる展開が素敵

簡単なあらすじなんかに
まとまってたまるか
途中から読んでも意味不明な二人の話

 

「なんでこの二人が
仲がいいのか」

そんな質問に対して
「説明すると長くなるんだけどさ」
と答えることも少なくないと思います

深い中であればあるほど
出会ってから仲が深まるまでが
紆余曲折あるものなので
「いろいろあったんだよ」
を簡単にまとめ上げることほど
野暮なことはありません。

そんな感情を
代弁してくれる歌詞です

この気持ちもいつか
手軽に持ち運べる文庫になって
懐かしくなるから
それまでは待って
地面に水をやる

凝った表紙や帯を付けた
ハード版の本も
時間が経てば文庫本化されて
手軽な大きさに落ち着いてしまいます

あの時の特別感は
そぎ落とされて
物語だけがコンパクトに
まとめられていきます。

これはまさに
思い出が美化されて
丁度いい思い出話になってしまう感覚に非常に近いです

手軽に持ち運べる
という切なさが刺さります

最後に

この曲は
別れの切なさが主軸にある曲ですが、
曲調がポップなので
「良い曲だな」
とスルっと聞けてしまいます。

一方で歌詞は
思い出として記された
二人の特別な物語が
あっけなく風で次々にめくられていく
そんな切なさが描写されています

風にページが流されて
どこまで読んだか見失う時の様な
「あー-」
と言って眺めるしかない
あのどうしようもない感じです

自分の大事な言葉や気持ちが
取り返せなくなるような気持ちを
思い出させてくれます

そうはならないように
栞を挟む訳です。

 

大事な気持ちには
しるしを付けておくことの
痛感させられます。

 

じんわり情緒的な素敵な曲です
歌詞までたくさん聞きこんでほしいです

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